ビル・ゲイツに魂を売った?~Appleオタクの私がWindowsを使う理由~

「ビル・ゲイツに魂を売った!」

あれは確か、20年ほど前のことでした。仕事仲間に、「最近Windowsマシンを買った」と言ったら言われたのがこの言葉です。

りんごへの偏愛と、抗えなかった仕事の波

振り返れば、私のデジタルライフは常にApple製品と共にありました。

あの虹色のロゴ、シンプルで美しいデザイン、そして直感的な操作性に魅了され続けてきたのです。新しいモデルが登場するたびに心をときめかせ、Apple Storeを訪れるのは(最近はもっぱらオンラインストア)、今でもとても楽しい時間です。

はい、自他ともに認める、筋金入りのAppleオタクでございます。

かつて同梱されていた虹色ロゴのステッカー

そんな私がWindowsを使うことになったのには、抗いがたい事情がありました。当時、ウェブサイト制作の仕事に携わっていた私は、制作したサイトが様々な環境で正しく表示されるかを確認する必要がありました。特に、多くのユーザーが利用していたInternet Explorer、つまりWindowsのブラウザでの検証は避けて通れませんでした。

加えて、お客様から提供される原稿やデータは、ExcelやWordといったマイクロソフト製品で作成されていることがほとんどでした。契約先の企業で用意されていたPCも、当たり前のようにWindowsマシン。

そんな理由で渋々買ったWindowsマシン。確かにビル・ゲイツに魂を売ってしまったような、愛する人を密かに裏切ってしまったような、そんな後ろめたさがあったのは事実です。

ライバルという名の宿命

当時、Appleとマイクロソフトは、明確なライバル関係にありました。Appleが先駆けて導入したGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を、Windowsが後に取り入れた経緯などは、よく知られた話です。スティーブ・ジョブズがビル・ゲイツに対して、時に厳しい言葉を投げかけたというエピソードも、当時のIT業界では語り草となっています。

Appleの「Think Different」というスローガンは、革新性を重視する姿勢を鮮やかに示しており、どちらかといえばビジネスライクなイメージの強かったWindowsとは、対照的な印象でした。私もそのメッセージに共感し、Apple製品を使うことに、ささやかな誇りを感じていたのかもしれません。

その後、iPodが爆発的な人気を得た際、マイクロソフトもZuneという対抗製品を投入しましたが、結果はご存知の通りです。Appleの洗練されたデザインと使いやすさは、容易には追いつけないものでした。こうした状況を目の当たりにするたび、「やはりAppleは特別だ」という思いを強くしていたのです。

Windowsへの戸惑いと小さな発見

初めてWindows PCに触れた時の感覚は、今でもはっきりと覚えています。ファイルシステムの構造、操作ロジック、ショートカットキー…その全てがMacとは異なり、まるで異なる文化に足を踏み入れたようでした。慣れない操作に愚痴りながら、業務をこなす毎日でした。

けれど、Windowsを使い続けるうちに、新たな発見もありました。特定の周辺機器との互換性が高かったり、ビジネス用途のソフトウェアが充実していたり。Macにはない利点も、確かに存在しました。それでも、あのシンプルで美しいインターフェースや、直感的に操作できる快適さは、やはりMacならではだと痛感したものです。

そして、当時はMac版しかないアプリ(当時はソフト、と言っていました)や、Windowsでしか動かないアプリがあり、完全に棲み分けされていたように思います。デザインはMac、ビジネスソフトはWindowsという感じで。
特にExcelでの複雑な処理やはWindowsの方が適していますし、AccessなどはそもそもMac版がありません。

それでも変わらない、りんご偏愛

Windowsを使い始めた頃は、Appleオタクとしてのアイデンティティと、プロフェッショナルとしての責任の間で揺れ動きましたが、異なるOSに触れることで、それぞれの特性をより深く理解することができたと思っています。

現在、私のメインのコンピュータはMacで、iPhoneやiPadも日常的に使用しています。Apple製品への愛着は、あの頃と変わることはありません。

けれど、変わらず仕事ではWindowsを使う事が多いです。今となってはWindowsの操作も慣れたもので、しっかりと使い分けています。ショートカットやキーボードの名称や位置が微妙に違いますが、マシンの前に座ると不思議なことに、スイッチが切り替わるようで操作に迷うこともなくなりした。(新しいOSに変わるっと、あれはどこいった?ってなってますが)

そして最近は、Windowsもすっかり小洒落た感じになってきました。
ついつい、スタイリッシュな小型のWindowsマシンを見ると「欲しい」と思ってしまいますが、結局はMacのようなスタイリッシュなデザインに惹かれている気がします。

仕事上、Windowsマシンはあった方が「便利」な存在ですが、Macは私にとってやっぱり「愛すべきもの」なのです。