夜明けまでには、まだ間のある時間に目覚ましで起こされ、半分朦朧とした状態で、電気をつけるが、つかない。
トイレの電気もつかない。
妙に静かだ。
常にしているエンジン音がしない!
廊下に出てみると、非常灯のみが点灯し、暗い。
周りの部屋の人たちも、ドアを開けて、「どうしたんだ!」と言い合っている。
水も出ない。
最悪の状態を考える。一番の問題はトイレだろうな。
エンジンの止まった船で漂流した人の話では、トイレが溢れて大変だったという。被災地と一緒だ。
到着が遅れたらどうしよう?電気がつかないということは、ネットも接続できないだろうな。どうやって連絡しよう?
ようやく明るくなってきたので、とりあえずデッキに出た。みんな不安げに話をしている。
厨房は、非常用電源があるようで、コーヒーは飲めるようになっていた。
コーヒーを飲みながら、時間をつぶしていると、船の煙突から煙が!
エンジンが動き始めたようだ。電気も回復。
水は茶色の水だが出るようになった。
しばらくして、「緊急メンテナンスのため、エンジンを止めていた。ご心配をおかけしました」と船内放送。「きっと、エンジントラブルだろう」
無事、日本まで帰り着けるか不安。
後10日間何とか動いてくれ!